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2019.02.14
黒川良一やデイヴィッド・オライリーも出展。 第11回恵比寿映像祭「トランスポジション 変わる術」
TEXT BY SAKI HIBINO
東京都写真美術館をメインに、恵比寿地域の文化施設にて、2019年2月8日(金)から2月24日(日)の間、開催されるアートと映像の祭典「恵比寿映像祭」。第11回となる今回は「トランスポジション 変わる術(すべ)」をテーマに26カ国、67組79名のアーティストによる展示、上映、トークイベント、シンポジウムなど多彩なプログラムで構成される。
今回のテーマの「トランスポジション」は、今いる位置から違うところへ移動すること、あるいはすでにある作法を異なるものに置き換えることを意味する言葉。
視点の変化や編集の緩急、ひとつの主題を異なるメディアやメソッドで表現することなど、アートと映像を介した様々なトランスポジションを味わうことを通じて、現代社会をこれまでの常識やルールの上で見つめるのではなく、違った角度から見つめ直すことで、様々な角度から見えてくるこたえを模索する術、変わることのないコアの部分の思想やあり方とは何かという問いを投げかけている。
メイン会場となる東京都写真美術館では、13組のアーティストによる展示、多様な作品で編まれた上映プログラムのほか、参加アーティストらによるラウンジトークやシンポジウムが展開される。
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ポーランドの実験映画界を牽引するアーティスト、カロリナ・ブレグワによる、台湾の人々の協力のもと、声を発する不思議な彫刻をめぐる物語を9面のスクリーンにて分割して上映するビデオインスタレーション『広場』。
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コミッショナー:Whitechapel Gallery, FVU, MIMA
国際的に活躍するギリシャ人アーティスト、ミハイル・カリキスが昨年ロンドンのホワイトチャペルギャラリーのコミッションを通し、環境問題に関する議論を子どもたちと行い、「音」にフォーカスし作成した映像作品『とくべつな抗議活動』。
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ロンドンを拠点とするマット・パイクが率いるデジタル・アートとデザインのコレクティヴ、UNIVERSAL EVERYTHINGは、群衆の動きの変化をシュミレーションした映像作品『トライブス』を出展するほか、デイヴィッド・オライリー、ルイーズ・ボツカイ、サシャ・ライヒシュタインなどの国際的なアーティストが名を連ねる。
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Bound Bawでもおなじみのデイヴィッド・オライリーはゲーム作品『Everything』のほか、2009年の短編作品『Please Say Something』を出展。当時、(手描きに比べて)人工的で温かみがないと言われていたCGにおいて、非常にユーモラスで”味”のあるアニメーションを発表し、アニメーション界に衝撃を与えた作品。
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Commissioned by GNRation
Produced by Studio Kurokawa Ryoichi
Bound Bawの過去記事にも登場している黒川良一は、人間の目には見えないナノレベルを対象に科学データを再構築したオーディオビジュアルインスタレーションを展示。高度に変形された原子スケールの空間を旅するような体験へと誘う。
東京都写真美術館の1Fホールを会場とする上映部門は、多彩な15のプログラムで構成されている。
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昨年のロッテルダム国際映画祭のタイガー・アワード・コンペティション部門でアジア映画の最優秀賞であるNETPAC Awardを受賞し、世界各地の映画祭で高い評価を受けるシリーン・セノによる8歳の少女の目線から1987年のフィリピンの政情不安を映しだした『ナーヴァス・トランスレーション』。
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Courtesy of the Artist and Empty Gallery, Hong Kong ©Takashi Makino, Empty Gallery
ロッテルダム国際映画祭、ハンブルグ国際短編映画祭、モスクワ国際実験映画祭などで日本人初のグランプリを受賞するなど国際的に活躍する牧野貴による4K新作映画『Memento Stella』のプレミアム上映。
長編デビュー作品『螺旋銀河』で高い注目を浴び草野なつかは、2019年のロッテルダム国際映画祭で特別上映にも選出された新作『王国(あるいはその家について)』(150分版)を発表する。
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恵比寿ガーデンプレイス センター広場のオフサイト展示は、昨年末の神奈川芸術劇場(KAAT)で大規模個展を行った気鋭の作家さわひらきが手がける。大きな円形空間の新作インスタレーション『platter』は今年のテーマ「トランスポジション 変わる術」からサーカスのアイディアを着想し作成されたという。
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Courtesy of Yamaguchi Center for Arts and Media[YCAM]
Photo: Atsushi Tanabe
日仏会館では、映画監督・三宅唱と山口情報芸術センター[YCAM]による映像インスタレーション『ワールドツアー』が展示される。
これら展示のほかにも、トークやレクチャー、ライブイベントシンポジウム、出展作家によるラウンジトークなど多彩なプログラムが実施される。連携して行われる周辺文化施設、ギャラリーのプログラムと合わせて、異なる視点の「トランスポジション」を体感してみてほしい。
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第11回恵比寿映像祭 「トランスポジション 変わる術」
会期:2019年2月8日(金)〜2月24日(日)
会場:東京都写真美術館、ほか
入場料:無料(上映プログラムなどは一部有料あり)
https://www.yebizo.com/
CREDIT
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- TEXT BY SAKI HIBINO
- ベルリン在住のエクスペリエンスデザイナー、プロジェクトマネージャー、ライター。Hasso-Plattner-Institut Design Thinking修了。デザイン・IT業界を経て、LINEにてエクペリエンスデザイナーとして勤務後、2017年に渡独。現在は、企画・ディレクション、プロジェクトマネージメント・執筆・コーディネーターなどとして、国境・領域を超え、様々なプロジェクトに携わる。愛する分野は、アート・音楽・身体表現などのカルチャー領域、デザイン、イノベーション領域。テクノロジーを掛け合わせた文化や都市形成に関心あり。プロの手相観としての顔も持つ。