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2020.01.21

目には映らない「映画」が誕生。evalaのインビジブル・シネマ《Sea, See, She―まだ見ぬ君へ》

TEXT BY ARINA TSUKADA

See by Your Ears(耳で視る)”をコンセプトに活動するサウンドアーティスト evalaが、今度は「映画」に初挑戦する。といっても、音楽家がカメラを回すのではない。真っ暗闇のなかで、音だけの世界で「映画的体験」を生み出すという。2020年1月24日(金)〜26日(日)の3日間、青山・スパイラルホールで開催されるインビジブル・シネマ《Sea, See, She―まだ見ぬ君へ》の全貌とは。

ことばを持つ前の人類は、どんな物語を共有していたのだろうか?
古来、人々は音楽を奏で、ともに踊ることで、共同体の物語を紡いでいたのではないだろうか。そして2020年、人間が本来持つ知覚を呼び起こし、音から物語を描く「映画」が誕生する

真っ暗闇のなか、たったひとりで小さな部屋から奏でられる音に耳をすます。そんなevalaの代表作《Anechoic Sphere》は、鑑賞者の多くが「景色が視えた」と感想を口にする。暗闇のなかでも、一人ひとりの内側からイメージが湧き上がってくる。そんな体験をつくりだすevalaの音の魔法と、その可能性についてはこれまでBound Bawで何度も取り上げてきた。

関連記事:
「日本庭園で、音の宇宙に入り込む。聴象発景 / evala (See by Your Ears) feat. 鈴木昭男」
音から、都市と生命をつくりだす。サウンドアーティストevala「See by Your Ears」の挑戦


そんなevalaが挑戦する映画とはどんなものだろうか?

《Sea, See, She―まだ見ぬ君へ》。遠いどこかの海辺に佇む、老婆にも少女にも見える女性ーー。この映画は、溢れ出る豊穣な音に耳をすませるだけで、森の中にも、深海にも、あらゆる時空間へと観客を誘い、それぞれの心象風景の中に無数の物語を生み出していく

この試みはまた、“暗闇の中に映画を視る”という新たな映画体験を生み出すと同時に、立体音響システムを駆使したevala独自の作曲手腕によって、従来の映画館をアップデートする先端事例を提示する試みでもある。マルチチャンネルのイマーシブなサラウンド音響技術を用いて、豊穣な音の空間を会場に展開する。

また、ドキュメンタリー映画『太陽の塔』をはじめ、哲学的なビジュアル世界で絶大な評価を得る映画監督・関根光才が、evalaの作品世界に共鳴して本プロジェクトに参加。2人は今夏公開された、国内最大級の「IMAXレーザー®/GTテクノロジー」シアターのためのショートフィルム『TRANSPHERE』以来のタッグとなる。

2020年1月24日(金) 〜 26日(日)の3日間、今年8月にスパイラルホールで開催されたプレ公演を経て、 待望のワールドプレミア上映が実施される。それはビジュアル偏重を極める現代社会に一石を投じる、革命的な体験​となるはずだ。

INFORMATION

●開催概要
インビジブル・シネマ《Sea, See, She―まだ見ぬ君へ》
日程 2020.1.24 (金) - 1.26 (日)
上映時間    約70分 各日6回上映(各回入れ替え制)
①11:00/②12:40/③14:20/④16:20/⑤18:00/⑥19:40
※開場は各上映開始時間の20分前

チケット 一般 3,100円(税込)/ 当日 3,600円(税込) 全席自由
[お申込み方法]Peatixより購入
https://invisiblecinema.peatix.com

会場 スパイラルホール
住所 東京都港区南青山5-6-23(スパイラル3F)
主催 See by Your Ears
会場協力 株式会社ワコールアートセンター
問合せ先 [email protected]

●関連番組
*Bound Baw編集長・塚田有那が出演します。


SUPER DOMMUNE OPENING BASH DAY2  
2020/01/24 (FRI) 
●19:00-21:00

evala「Invisible Cinema」Sea、See、Sheーまだ見ぬ君へー」SPECIAL!!
出演:
evala(See by Your Ears)
関根光才(NION)
塚田有那(Whole Universe/Bound Baw)
SELECTOR: JEMAPUR

●21:00-24:00
「DARREN EMERSON at SUPER DOMMUNE」
DJ: DARREN EMERSON(ex Underworld、EVOLVE|from LONDON)
Asato Sakamoto(syncilow|Apnea)
https://www.dommune.com/

 

CREDIT

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TEXT BY ARINA TSUKADA
「Bound Baw」編集長、キュレーター。一般社団法人Whole Universe代表理事。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。12年より、東京エレクトロン「solaé art gallery project」のアートキュレーターを務める。16年より、JST/RISTEX「人と情報のエコシステム」のメディア戦略を担当。近著に『ART SCIENCE is. アートサイエンスが導く世界の変容』(ビー・エヌ・エヌ新社)、共著に『情報環世界 - 身体とAIの間であそぶガイドブック』(NTT出版)がある。大阪芸術大学アートサイエンス学科非常勤講師。 http://arinatsukada.tumblr.com/

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